若い人の老人性イボ

27歳の女性。3、4年前から、首や胸に小さなイボができ始めました。首のイボは黒く、胸には肌色の直径1ミリ程度のものがたくさんできています。近くの皮膚科に行くと、老人性のイボといわれ、ショックを受けました。老人性とのことですが、どうしたらよいのでしょうか。(大阪・K)


答える人  南光 弘子さん(なんこう・ひろこ、東京厚生年金病院皮膚科部長)

 若いのに「老人性イボ」ということがあるのですか。

 いわゆる老人性イボというのは、正式には老人性疣贅(ゆうぜい)と呼ばれるものです。良性の皮膚の腫瘍で、皮膚の表皮が増殖したものです。40歳以上になると目立ってくるもので、中高年では、これがない人はいないくらい多く見られます。ただ、この人のように20代の人でも出てくることがあります。「老人性」と呼ぶと若い人はショックを受けることも多いので、脂漏(しろう)性角化症といいかえる医師もいます。

 原因は。

 紫外線に長い期間、何度も繰り返し当たってきたことで皮膚の表皮細胞が老化したことによるものです。これを光老化といいます。光の影響とは別の老化によって出ることがありますが、とくに紫外線に長く当たった部分の方がより早く、たくさん出やすいようです。老人性といっても、人によってイボの出方はさまざまで、その人が紫外線をどれだけ浴びやすい生活を送ってきたかなどに左右されます。サーフィンなど、紫外線によく当たるようなことをしていた場合や、色白で皮膚が光線の刺激に弱い場合、光老化が早めに起こりやすいといわれます。

 この方は首のイボは黒く、胸のイボは肌色といっていますが……。

 脂漏性角化症のイボの色はさまざまで、褐色のものもあります。大きさも直径数ミリから1センチ未満が一般的ですが、なかには1センチ以上のものもあります。首や脇の下など、汗をかく部分には米粒の半分ほどの大きさで茎状になったものができる人も多いようです。

 イボは治療できるのですか。

 良性の腫瘍なので、放置しておいても心配ありませんが、気になる人もいるので、治療の対象になります。小さいイボで茎があるものはハサミで切除するのが確実です。茎がないものは、液体窒素で凍らせてとる冷凍凝固法が、簡単です。

 数が多くても大丈夫ですか。

 皮膚科の専門医のところなら、数が多くても外来の治療で済みます。電気で焼いたり、手術で切除したりする方法もありますが、イボの大きさなどによって対処のしかたが異なりますので、医師に相談すると良いでしょう。ただ、医療機関によっては保険がきかないところもあるので注意してください。また、大部分のイボが良性ですが、色や形がふつうのイボと違う感じがしたときや、下着などに血が付いたようなイボが一緒にあった時は、皮膚がんがまじっている可能性もあるので、放置せずに早めに皮膚科に行ってください。

 治療後は再発はしないのですか。

 光老化は小さいころから浴びた紫外線の蓄積によるものとされており、完全に再発を防ぐのは難しいです。冷凍凝固法でイボをとったその跡から、半年から1年ぐらいで再発する例もあります。

 打つ手はないのですか。

 その後出てくるイボの数を少なくするうえでは、ひじより先の部分や首の付け根など、紫外線が当たりやすい体の部分には紫外線を避ける日焼け止めのサンスクリーン剤をこまめに塗ったり衣類で覆ったりすると良いでしょう。サンスクリーン剤の日焼け止めの効果の指標にSPFとPAというのがありますが、SPFは30程度、PAは高めのものを選ぶのが良いでしょう。


●SPFとPA

日焼けの原因になる紫外線(UV)には、UVAとUVBの2種類があるが、光老化にはUVAの影響が大きいという。PAはUVAを防ぐ効果、SPFは主にUVBを防ぐ効果を示す。PAは3段階表示の「+++」で効果が最も大きく、SPFは数字が高いほど効果が大きい。

1999.8.1 朝日新聞



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